生き続ける意味 **番外編**
…あれから、3週間が過ぎた。
外はすっかり若葉が芽生え、桜も咲き始めた頃。
だんだんと外の景色も、温かい色で染まってきた。
「…桜、日に日に顔色悪くなっていってるけど…
そろそろまずいんじゃない?」
帰宅途中、実優の心配そうな声。
あたしは、必死で首を振った。
「大丈夫…今日は金曜だし、土日で休みあるし…」
結構、まずい。
自分でもわかる。いくら否定したくても、出来ないくらいにまずい。
「…桜、やっぱ今から病院行こう。
このまま家に返して、土日会わないのは怖い。」
そう言って、あたしの手を握る翔。
翔の手が、なんだか冷たいような…
ちがう、あたしが熱いのか。
今、カバンと部活の荷物は2人に持ってもらってる状態。
家まで送ってもらってるんだけど…
もう、足に力がちゃんと入らないわ、目の前がくらくらぼやけるわ…
「桜、一旦家に着いたけど…
亮樹兄ちゃんは仕事?」
コクっと頷いた。
亮樹兄ちゃん、今日は仕事。
それに…
「今日、当直って言ってた…」
それを聞くなり、翔の顔がゆがむ。
「まじか…なおさらだって。
一旦休んでからでもいいし、病院行こう?
外来、何時までだっけ?」
翔と実優の心配そうな顔が、あたしをのぞく。
胸が痛い。こんなに、色んな人に迷惑かけちゃって。
あたしは、必死で笑うと、首を振った。