生き続ける意味 **番外編**
「桜っ!大丈夫か?」
そこにいたのは、あせった顔をした亮樹兄ちゃんだった。
やばい、なんだかぼーっとする…
一気に力が抜けて、体がくたっとなった。
とっさに、亮樹兄ちゃんがあたしを抱えて洗面台に連れていく。
「桜、どれくらい吐いた?」
コップに水が注がれ、口に含まされ、ゆすいだ。
「こほっ……ずっと…トイレ、いた…」
亮樹兄ちゃんは一旦あたしをベッドに寝かすと、どこかへ電話をかけた。
「あ、すみません。…はい、そうです。
今から千﨑桜という小児科の患者を救急で連れていきます。
熱が高くて、ひどく嘔吐したようで脱水症状が出ています。意識ももうろうとしています。
私が入りますんで、処置の準備お願いします!」
病院…?行くの?あたし…
ズキンズキンと一定の間隔で襲ってくる頭痛。
「桜?ちょっと今から病院行くからね?」
そう言うと、再び抱えられ、今度は車の後部座席に寝かされた。
病院まで車で20分なんだけど、今のあたしには長すぎる時間で。
車が揺れるから、治まってた吐き気も、徐々に出てきて。
「桜、水飲めるか?脱水してるから、飲んだ方がいいんだけど…」
あたしは首を振った。
「だめ…もどしちゃう。」
「…そっかもうすぐ着くから、あともうちょっと我慢な。」
そう言われ、しばらくの間、容赦なく襲う吐き気と闘った。