生き続ける意味 **番外編**
窓の外は真っ暗。どんより曇ってるのか、星はひとつもない。
今、何時なのかもわからない。
頭がぼーっとしていて、ここに運ばれる前の記憶も曖昧で…
「桜、まだ朝方の4時だから。寝てな?」
布団を肩までかけられて、亮樹兄ちゃんは静かに病室を出た。
…亮樹兄ちゃん?…怒ってないの?
そんな疑問が頭の中をぐるぐる巡る。
だって、あたし……言う事聞かないで、勝手に…
自然とポロリと涙が落ちた。
結局、迷惑かけてる。あたしのせいで。自分のせいで。
部活を無理にやらなければ…あんなに頑張り過ぎなければ…
今、こうやって、亮樹兄ちゃんに心配かけることも、翔や実優に迷惑かけることもなかったのに。
…けどっ、みんなに迷惑や心配はかけたくないんだよ…
それでも、部活はしたいし、みんなと同じような学校生活を送りたかった…。
ただ、普通の日常が欲しかっただけなのに……
なんであたしはそれさえも出来ないの?
その気持ち、我慢しなきゃいけないことなの…?
目を開くと、入院していた時に戻ったように、変わらない病室だけがあった。
…嫌だ。逃げたい。こんな所、いたくない…
ただ、その感情だけが先走って、自分でもよくわからないまま、重たすぎる体を起こして、病室を出た。