生き続ける意味 **番外編**
「亮樹兄ちゃん…?」
亮樹兄ちゃんはどこに行くのか。
「桜、一旦お部屋帰ろう?ここじゃ寒くて風邪ひいちゃうよ。」
そう苦笑いした。
…やだ。
心の中に、その2文字だけが浮かんだ。
亮樹兄ちゃんに迷惑かけたくない、けど、嫌だ…戻りたくないっ…!
「やだ…やだっ…」
亮樹兄ちゃんはあたしの声を聞くと、立ち止まった。
そして、あたしの顔を覗く。
「桜?」
体が震えて、あたしは必死に降りようとした。
「亮樹兄ちゃんっ…離して。
あたし、戻らないっ…行かない…」
足をバタバタして、必死に降りようとしたけど、亮樹兄ちゃんの力が強くてなかなか降りれない。
「ちょっと、桜っ…?」
びっくりしたように亮樹兄ちゃんはあたしを強く抱える。
近くの長イスにあたしを下ろすと、あたしが逃げないように、手を握られた。
「亮樹兄ちゃんっ…あたし、帰りたいの。もうやだっ…ここにいたくない。帰りたい…」
自分でも、わがままだってわかる。
入院してる小さい子どもみたいだってわかってる。
けど、どうしても嫌なの。ここにいたくないの。ここにいると、心臓がドキドキして、痛い。
涙も止まらなくて、溢れてくる涙を必死で拭う。
「桜…、ここに居るの、嫌?」
あたしはゆっくり頷いた。
「なんで嫌なの?」
あたしは亮樹兄ちゃんの肩に寄りかかると、小さい声で話した。
「みんなに迷惑かけるし…痛いこと嫌だし…
怖いし、悲しくなってくるし…病院はもう嫌だ…やだもん…」
小さい子どもみたいに、泣きながら亮樹兄ちゃんに言った。