生き続ける意味 **番外編**
んんー、亮樹兄ちゃんのお説教、怖いしなぁ…。何も言えなくなるし。
ごろんと寝返りを打つと、見えるのは手から繋がってる点滴。
「…結局、病院に残らされてるし。」
あたし、家に帰りたいのに。もう、病院にいたくないのに。
…けど、逃げたら怒られるし。今度こそ、どうなるかわからないし…
…また、検査とかするのかな??いつ退院出来るんだろ。
なんだか嫌な予感がして、急に一人でいるのが怖くなって、あたしは病室を出た。
さっきとは打って変わって、明るい廊下。
小さい子がお話してたり、家族の方がお見舞いに来てたりする。
点滴を引きずりながらナースステーションに行くと、茜さんの姿があった。
「茜さんー…」
すると、あたしの方を振り向き、笑顔になる茜さん。
「なぁに?どうしたの?桜ちゃん。」
相変わらず、小柄なでかわいげな茜さん。
「茜さん、あたし、いつ退院できる…?」
こんなこと、茜さんに言っても仕方ないんだろうけど。けど、不安だった。
自然と声が小さくなる。
茜さんはうーんとうなり、苦笑いした。
すると、あたしの方に顔を寄せて、小声で話し始めた。
「昨日、亮樹先生と話してたんだけどね?
桜ちゃん、学校で無理して運ばれてきちゃったんだって?」
うっ…茜さんも知ってたの…?
たしかに、それはあたしが悪いけど……
茜さんがさらに声をひそめる。
「桜ちゃん、前に退院した時、亮樹先生なんて言ったか覚えてる?」
え?なんて言ったかって…?
「まだ完全に体が病気から元の状態に戻ったわけじゃないから、自宅療養って形で退院したの。
もちろん、あの時体の悪いところは解放に向かってたから、退院だったんだけど、無理したらまたどこが調子悪くなるかわからないのよ。
だから、しばらくお家で休んで様子みてから学校行ったでしょ?
けど、またそれで無理しちゃったら、何回も言うようだけど、体に何の影響でるか分からないのよ…
少なくとも、しばらくはね。だから、亮樹先生は安静にして欲しかったの。
…って私の言いたいこと、わかるかしら…?」
…ってことは、つまり?
ズキンと胸を刺すような嫌な予感が広がる。
場合によっては、また入院……?