生き続ける意味 **番外編**
「荷物取ってくるから、そこで待ってな。」
「…わかった。」
しぶしぶ頷くと、近くのイスに座った。
うぅ、なんか寒くなってきた…。
大雪だって言ってたもんなぁ…。
そりゃ、寒いわ。
そのとき、茜さんのPHSが鳴った。
「はいっ、河北です!」
さっきまでほんわか、優しい雰囲気が一変。険しい表情になった。
こういうとこ見ると、さすが医療に携わる人って思う。
人の命がかかってるんだもんね…。
まっ、険しい顔って言っても、茜さんならなんでも可愛らしいけど。
「えっ?ヒカリちゃんがまた逃げ出したんですか?!」
その言葉に、あたしの耳がやけに反応した。
逃げだした…脱走?あたし、それなら常習犯だったけど。
まあ…たぶん小さい子が逃げ出したんだろうね。
「桜ちゃん、ごめんね!ちょっと脱走した子が見つかってないらしくて…
私も探さなきゃいけないから、また今度ね!」
「うん!頑張ってください!またね!」
走っていく茜さんの姿を見ながら、手を振った。