生き続ける意味 **番外編**
「…亮樹兄ちゃん、痛い。」
「ん?どこ痛い?」
「…頭と、関節…」
その時、体温計が鳴った。
亮樹兄ちゃんが取ると、顔が引きつった。
あたしはとりあえず体がだるいのと痛いのでしんどくて、亮樹兄ちゃんの膝の上でぐったりしてる。
やばい…結構きつくなってきた…
「39度3分。
ねぇ桜さ、熱下げる注射するよ?苦しいでしょ?」
注射…?
あたしは必死で首を振った。
「やだ…しなくて大丈夫。しんどくないから…」
「だーめ。そんな真っ赤な顔して言われても、説得力の欠けらも無いから。茜さんに持ってきてもらうから。」
と言うと、亮樹兄ちゃんは連絡した。
注射って、筋肉注射でしょ…?あれ、すごく痛いんだもん。
「ねぇ亮樹兄ちゃん…点滴する。そっちがいい。」
「点滴ならさっき寝てる間にしたんだよ。それでも効かないから…ね、ちょっとだけ頑張るよ?」
そう言うと、あたしの服の袖を上まで上げた。
「やだ……痛いもん。」
駄々をこねてると、茜さんが病室に入ってきた。
「亮樹先生!持ってきましたよ!」
「ありがとう。よし、桜、頑張ろっか。」
あたしはひたすら首を振る。
「ダメだよ。桜が苦しくなっちゃうだけだから。」
「しないっ。」
亮樹兄ちゃんは苦笑いして、準備をする。
「もう高校2年生でしょ?注射でこんなに駄々こねる子いないよ?」
しっかり亮樹兄ちゃんに膝の上で固定されて、動けないあたし。
もうやだ…怖い。痛いの、嫌なのに…
心臓のドキドキが止まらなくて、余計に苦しくなる。
「…よし。茜さん、消毒してくれる?俺が打つから。」
「はい!」
その瞬間、腕がスっとして、体がこわばった。
「あんまり力入れるともっと痛くなるよ?ほら、もっと力抜いてー、桜目つぶりな?」
あたしはギュッと目を閉じた。
すると、腕にトントンと亮樹兄ちゃんの指が当たって、チクッとした痛みが走った。
最初はいいけど、だんだんと痛くなって、本当に怖くなった。
「やだ!早く終わりっ…」
「ちょ、桜動かないの!危ないよ!」
けど、気付いたら終わっていて、あたしはぐったりしていた。
亮樹兄ちゃんはあたしをベッドに寝かすと、布団をかけた。
なんだかさっきより熱上がってる気がする。
腕がじんじん痛いし。
「…もう、まったく…手がかかるんだから。」
そう言って、頭をポンポンっとなでた。