生き続ける意味 **番外編**
「桜、少し入院長引いちゃうと思う。
肺炎かかったし、すこし栄養とって、休養が終わるまで、入院かな。」
亮樹兄ちゃんが近くのパイプ椅子に座りながら言う。
困った顔の亮樹兄ちゃんに、あたしは俯いた。
また、長くなっちゃうの…?
そう思うと、涙がにじんでくる。
そんなあたしを見てか、真剣な顔をして亮樹兄ちゃんは言った。
「あのね、桜。
桜の体は、まだ万全じゃないの。まだまだ定期検診を続けて様子を見なきゃいけないの。
…わかるよね?無理したら、体がしんどくなる。
だから、無理しないで、ちゃんと安静にして。じゃないと、桜が苦しむだけなんだよ?」
あたしは小さくうなずいた。
わかってた。そんなこと。けど、納得いかない自分がいて…
バカだってわかってたけど、無理して、亮樹兄ちゃんの言う事聞かないこともあった。
肺炎にもなって、またしんどくなって…
「わかった…」
「ん、よし。」
そういうと、亮樹兄ちゃんと茜さんは病室を出ていった。
我慢してたのが切れたみたいに、一気に涙が溢れだしてきた。
「っ…ん……」
必死で声を抑えようとするけど、無理だった。
どうして、こんなふうになるの。
どうしてあたしはこんなのばっかり…
なにか悪いことしたのかな?なにがいけないの??
答えのないのが、どんどんでてくる。
このまま、あたしはずっと病院なのかな?ずっと周りに迷惑かけるのかな??
…胸が、引き裂かれそう。
心臓がドクドク響いて、目の前は涙でいっぱいで。
あたしは、何も考えずにベッドから降りた。
病室を出ると、遠くに亮樹兄ちゃんの後ろ姿があった。
「りょーき兄ちゃんっ…」
今出せる精一杯の声で呼んだ。
すると、亮樹兄ちゃんの足が止まって、こっちを向いた。
あたしを見ると、ハッとして、歩いてきた。
「どうした?」
あたしはその場に座り込んだ。
…寒い。体がフラフラするし。
うずくまって、体を丸める。
「…寒いか。桜、どうしたの?」