生き続ける意味 **番外編**





ふわふわ、浮かれたきもち半分、

昨日見た夢が、まだ心に突き刺さってる。



何度、大丈夫だよって言われても、何度、気にしなくていいんだよって言われても、

あたしが迷惑かけてることに変わりないの。


「ふぅ……」



肺の中の空気を全て吐き出す勢いで、深いため息をついた。




「桜ー?おはよー」


聞こえてきたのは、いつもの声。



私服の上に被せましたってくらい雑に着た白衣に、首からかけたネームプレート。


…朝来て、そのままあたしの病室来たのかな?



「おはよー…どうしたの?」



回診にしては早くない?

すると、亮樹兄ちゃんは苦笑い。


「さっき茜さんとすれ違って、桜が昨日より調子悪そうだからって聞いたんだけど…

むしろ、昨日より顔色は落ち着いてねーか?」



…さすが亮樹兄ちゃん。だって嘘だもの。


「うん。」

「いや、うんって。お前が言ったんだろ?」



「あー…いや、そんな事言ったっけ?あたし。」



さすがにすっとぼけるのが下手すぎるかなぁ。

なんて思いながら。



亮樹兄ちゃんは、疑ってるようなあたしを見た。


「ふぅーん、まぁ悪くなきゃいいけどさ。

話変わるけどね桜。なんで病院抜け出したの?」



さっきまでのすこーしだけの浮かれ気分が完全に崩壊した。


まずい。そういえばそうだ。

あたしは勝手に病院を抜け出して、挙句の果てに体調を崩しまくったんだ。


…ここ最近で色々とありすぎて忘れてた。


ど、どうしよう。

けど、前に聞いた時、ヒカリちゃんも病院に連れてきたって言ってたよね?


なんて言ったら…。


「あの…えっと……えっと。」



亮樹兄ちゃんはふぅと息をつくと、言う。


「ヒカリちゃんに連れていかれたんだろ?それは聞いた。

だから、今回に関しては桜は悪くないのは知ってる。」




「ほ、本当ですか…」



「けど、どうしてか知ってる?ヒカリちゃんが桜を連れて病院を抜け出したのか。」




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