生き続ける意味 **番外編**
「だって、翔と亮樹兄ちゃんがお医者さんでしょ?
2人もいてくれたら、最強じゃん!安心安心〜
…あ、けど二人とも口うるさそうだな…。」
翔は、あたしのほっぺを摘む。
「絶対に逃げられねぇから安心しな?」
「…逃げる。意地でも逃げるもん。」
「ふふっ、あははっ」
翔が思いっきり笑う。それをにらむあたし。
「けど、翔は良い先生になりそう。うん、保証する!」
「桜に保証されなくても、絶対になるよ。」
うんっ!なるなる!
あたしはココアを一気に飲んだ。
甘くて、温かい。
「…早く医者になりたい。」
…ん?どうして?
翔の横顔がやけに寂しげだった。
「そしたら、桜の身体を早く治す手伝いが出来るだろ。」
ドクンッ
心臓が波を打つ。
ときめくとかじゃなくて、胸に響くというか。
「…十分、助けてもらってるよ。」
そうポツリと呟いた。
自然と笑みが溢れる。
「翔がいつもそばにいてくれたから、あたしすごく心強かった。
翔がいなかったら、あたしどうなってたかわからないくらい。」
もちろん、実優も亮樹兄ちゃんもだけど。
翔の存在も大きかったんだ。
翔はびっくりしたように微笑むと、くしゃっと笑った。