生き続ける意味 **番外編**
検査が終わって、病室のベッドでだらけていた。
一気に疲れが出た……
今日はまだ調子良い方かなって思ったのに。
ガッシャン
ええっ?
いきなり、ドアが勢いよく開いたかと思うと、小さな男の子が駆け込んできた。
イタズラな笑顔を浮かべて。
男の子は、ベッドの後ろに回ると、なんとベッドの下に潜った。
「えっ、なにしてるの…?」
思わず話しかけようとしたとき、廊下から声がした。
「理玖ー!どこにいるの…」
理玖…?どこかで聞いた覚えのある…
呼んでいるのは、お母さんと見られる女の人だった。
あたしは、そっとベッド下を覗き込むと、男の子が上目遣いでこちらを見て、しぃーと人差し指を口に当てて、無邪気に笑った。
ふふっ…
その笑顔に、思わず笑みがこぼれた。
あたしはベッドから降りると、しゃがんだ。
「ねぇ、理玖くんだよね?前に会ったことあるんだけど…お姉ちゃんのことわかる?」
理玖くんは一瞬キョトンとすると、すぐにパァっと笑った。
「あ、あの時のお姉ちゃんだ!
理玖ね、今お母さんから隠れてるの!」
そう言った。
なにも言おうと、この子があたしとぶつかって腰を痛めた原因なのだ。
別に、全然怒ってるわけでもないけどね。今の今まで忘れてたし…
「え、お母さん?」
「理玖ー!どこいるの!」
廊下でほぼ叫ぶに近い声をあげる女の人の声…
「きたぁ!」
元々ちっちゃい背中をさらにキュッと縮ませる理玖くん。
その姿が微笑ましい。