生き続ける意味 **番外編**
翔は、珍しく鞄ひとつでマフラーを巻いていた。
「なんでって...帰るとこだからだよ。」
「めずらし...部活ないんだ。」
高校に入っても、水泳を続けている翔。
今はプールには入れないから、陸上部のように校庭を走ってるのに。
「そ、今日は週一の休み。桜は?」
相変わらずの爽やかな笑顔であたしの顔を見る翔。
「部活...入ってないし。入れないしー。」
わざと言い捨てるように言って、門を出た。
肌にあたる風が冷たくて、凍りそう。
後ろから追いかけてくる翔。
「お前、なんかあった?元気ない...っていうか怒ってる?」
高校に入ってからというもの、翔が...腕に筋肉がいい感じについてるし、手が大きくて少しかたくて...。
なにかっこよくなってんのよ!!
「なんでそんなかっこよくなってんのよ...」
口から出たままに言葉がでる。
幼なじみだからね、遠慮なんかないわけで。
翔は笑った。