生き続ける意味 **番外編**
「さく…」
ぼうっとした意識の中に、少しだけ聞こえた音。
「桜!!」
はっきりとした声が聞こえて、目を開けると亮樹兄ちゃんがあたしを見下ろしていた。
「ん…亮樹、兄ちゃん……おわったの?」
頭がぼーっとしていて、なんだか分からないまま立ち上がった。
亮樹兄ちゃんは自分の上着をあたしに被せた。
「終わったよ。お前、ずっと寝てたんだな…お前まで風邪ひくぞ。」
暗いのは変わらないけど、さっきよりもいちだんと寒くなった。
亮樹兄ちゃんは捲り上げられた裾を直すと、息をつく。
「やっぱり、桜が見た子だって。ヒカリちゃん。」
ヒカリちゃん…。
名前を聞くと、どうしても、あの苦しそうな表情が頭に浮かんでしまう。
なんでかわからないけど、ずっと覚えてるんだよね…。