生き続ける意味 **番外編**







あたしの意識が途切れる前に話したのが最後。




ケンカしたのが…最後。




胸の中に、モヤモヤが残ったまま。



あれから、ずっとモヤモヤがとけない。





あのとき、ちゃんと話して、ケンカしなきゃよかったとか、



亮樹兄ちゃんに晴ちゃんが危ないって言われた時、すぐに会いに行けば間に合ってたのに、とか。




後悔ばっかだよ…晴ちゃん。




あたしは治ったのに。晴ちゃんは…。





ぎゅっとこぶしを握った。



運命って残酷だ。晴ちゃんだって、あたしだって、同じくらい大変だった。




…いや、晴ちゃんの方が大変だったよね。



自分は治らない病気だって分かっておきながら、何ともないかのように振舞ったり。



周りから、大丈夫じゃないのはわかってるのに、”大丈夫だよ”って言われたり…。




それなのに、あたしのために千羽鶴作ったり…。



晴ちゃん、いったいどんな気持ちで千羽鶴を作ってたの?



自分のことは治らないってわかってて、あたしが治るように願って…。





そんなのっ…あたしはできないよ…。





どれだけ苦しくて、どれだけ孤独だったんだろう…。







< 57 / 212 >

この作品をシェア

pagetop