生き続ける意味 **番外編**







ヒートアップしそうだった実優をあわてて止めた。



実優は納得いってないみたいだけど…。





あたしは……ヒカリちゃんの気持ち、わかるから。



あたしが病気だったときも、治療とか嫌でよく抜け出したいとか思ってたから…。




だけど、戻らなくちゃ行けないのは本当のことで。






「ヒカリちゃん…一緒に病院戻ろう?きっと、看護師さんやお医者さんが心配してるよ。」




そう言うと、ヒカリちゃんはさっきとは全然違った、キッと鋭い目つきになった。





「心配なんかっ…するわけないじゃない!

私は…生きてる意味なんか、ない…!苦しいだけ!だから、死んじゃった方が……」





そこまで言うと、がくっと膝から崩れ落ちた。



そのまま、倒れてしまった。



「えっ?ちょっと、大丈夫?!」




あわててヒカリちゃんに寄る実優。



けど、あたしは立ちつくしたまんまだった。





生きてる意味なんか、ない。




死んじゃった方が…





あたしの胸の底が、ドキリと大きく波打った。




いつか、あの時を、思い出してきた…。





痛いほど、鮮明に。




入院していた頃…治療しても、なかなか治らなかった時…。



こんな気持ちだった。




「桜…?」




立ちつくしているあたしに、不思議そうに声をかける実優。



あたしは、実優の声にハッとして、ヒカリちゃんのもとに駆け寄った。









< 88 / 212 >

この作品をシェア

pagetop