生き続ける意味 **番外編**
あたしは、家に帰ると、学校の宿題を机の上に開いた。
宿題をやろうと思ったけど…なんとなく、そんな気分じゃない。
びっしりと書かれた、数学のノート。
決まった公式や方程式が、ピンクのマーカーでぐるりと四角く囲まれている。
「人の感情は、公式や方程式じゃないからなぁ……。」
ひとり、こんなことをつぶやくのには、すこしわけがあった。
あたしは、窓から見える星を眺めながら、病院でのことを思い出した。
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「桜ちゃん、お願いがあるんだけど…」
「な、なんでしょう?」
佑真先生の表情は、いつも以上に真剣で…けど、どこか悲しげだった。
何事かと高まる心臓を抑え、ゆっくりと呼吸した。
こんな佑真先生…見たことないし。
まさか…亮樹兄ちゃんのこと?
仲良いもんね、ふたり…。
亮樹兄ちゃんと一緒に暮してるあたしに相談するってことは、あんまり声を大にして言えないこと?
…まさかっ!亮樹兄ちゃん、どこか体調を崩してるとか?
亮樹兄ちゃんに何かあったとか?!