生き続ける意味 **番外編**
ちょうど、年齢的にも甘えたい年頃だったのかな?
けど、子どもの数だけ、施設の先生がいることはないわけで…。
嫌だった。
学校であったことを、帰ってから1番に教えてあげたい人がいない。
悲しいことがあって、1番すぐに相談できる人がいない…。
嬉しいことや悲しいことがあったって、ほとんどは自分の中に溜まっていくだけ。
それに気づくと、なんだか、どんどん自分は一人ぼっちなんだって実感してきて…。
あたしは、施設にいるのが嫌になっちゃったんだ。
だから…あたしは施設を飛び出した。
だれにも言わず、相談せずに。
あたし自身も…なにがしたかったかなんて分からなかったけど…。
とにかく走って、走って…。
来たのは、見覚えのない場所だった。
その頃には、もう日はすっかり沈んでいて、あたりは真っ暗闇。
怖くて、ひとりしゃがみ込んでいたら…
「きみ、ひとりなの?」
この人が、話しかけてきた。