めはくちほどに

そして、自然な流れでコインパーキングの機械にお金を入れようとすると、手首を掴まれる。

「え、何してるの?」

「スーパーの駐車料金も払ってなかったので」

唖然とした顔をしてらっしゃる。そういえば、この人とは金銭感覚や価値観が違うことを思い出した。

いや、それが大前提であることを思い出した。

「……副社長、あの、すみません、」

お金には触れないので、手を離してください。

「また来ても良い?」

「はい?」

「また紺野家にお邪魔しても?」

どれだけ家を気に入ってしまったんだ。

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