めはくちほどに
面白く思いながらそれを見ていると、副社長と目が合った。
「てゆーか、今日来るってことは鷹村さん、お泊り?」
「……え?」
「じゃないの? 明日会社お休みでしょ?」
葉苗の言葉に目をぱちくりさせる。いやいやいや。
ただでさえ狭いこの家に副社長が泊まるというのか。
絶対家に帰って眠った方が良い。
「泊まらないよ。副社長は忙しいの」
「泊まって良いなら泊まりたいな」
「副社長」
「だめなの?」
そんな子犬みたいな目で見られても、まず着替えがない。
「着替えならお兄ちゃんの使ってない新品のがありますよ」