めはくちほどに
海都が働いているのは駅前の居酒屋チェーン店。そのバイト先の後輩の女の子にこの前告白されたと言っていた。
一回断ったけれど、たぶんまだ好きなんだと思う。
「で、海都は泣き止むまで付き合ってあげたわけだ」
「なんかああいうの放っておくの、苦手だ俺」
「妹みたいで可哀想になっちゃうんでしょう。それ前も言ってたよ」
「シフト被せないようにしてもらおうかな」
あれ、副社長がうとうとしている。海都越しにそれが見えた。
そういえば副社長がどこで眠るか聞いていなかった。ここで眠っても良いけれど、毛布は持ってこないと。