めはくちほどに
私の視線に気づいたのか、海都が振り向く。
「私は後輩の子に会ったこともないから何とも言えないんだけど、ただひとつ言えるのは」
「うん」
「その子は全然妹には似てない。葉苗も星子も外で簡単に泣いたりしないし、それに人を付き合わせたりしない」
「……はい」
「それも分かったうえで構ってるなら、本当はその後輩の子が好きか、擁護しないといけないと感じる海都が優しすぎるだけだと思う」
「……シフト変えてもらいます」
「はい。じゃあお姉ちゃんは寝ます」
おやすみなさーい、と海都がコップをシンクに置きに行く。
「副社長はどうしますか?」