めはくちほどに
腕を揺すられた。
「……ちゃん、ひさちゃん」
目を開くと、副社長がいた。
「おはよう」
「……おはよう、ございます」
なんだろうこの状況。この前と反対だ。
「部屋に入る許可は海都くんに貰った」
「どうして私の部屋に入る許可を海都が出せるんですかね……」
「ひさちゃん」
名前を呼ばれる。私は身体を起こして、隣に座る副社長の顔を見た。
「はい」
「朝だよ」
「副社長、あの」
「うん?」
「寝癖がすごいです」