めはくちほどに

まあ、それも含めて秘書課の仕事なのだろう。

総務課の私がとやかく言うことではない。
そう思って、割り切る。

秘書課の階で降りて、河上は早足で社長室のドアをノックしていった。

私は秘書課のコピー機に用紙を入れて、補充の分も積む。
秘書課には誰もいなくて、みんな早めの昼休みをとっているらしい。

「ここは天国だねえ」

「下界は地獄ですか」

「午後分の体力は使い切った」

何言ってるの、秘書課のエースが。

河上は私に空いている椅子を勧めてくれた。私も一応仕事中なんだけどね。

けれど秘書課に河上以外の人がいないときは別だ。

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