めはくちほどに

「何やってんの」

びっくりして、しゃっと立ち上がる。

社長か、と恐る恐る振り向くと見慣れた姿だった。

「副社長、私たちは備品について話し合ってたんです」

「そうは見えない直立だけど」

私を見て笑っている。

「本当ですよ、コピー用紙持ってきたついでに」

「僕も一緒に冷麺食べに行こうかな」

「ええ、副社長の奢り? そんな悪いですよ」

ひらひらと手を振る河上。社長のコーヒーは買ってくるけれど、副社長には奢らせるつもりらしい。

秘書課にいくと強かになるんだなあ。

私は台車の取っ手を掴み、出口へ向かう。

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