めはくちほどに
お姉ちゃん、と口を開く。
「うん?」
「お姉ちゃん、美人ですよね? それに頭も良いんですよ、今の会社では稼ぎ頭らしいんです」
「確かに美人だったし、聡明な人だと思った」
「お姉ちゃんも副社長のこと素敵だって言ってましたよ。私も、とてもお似合いだと思います」
もうすぐコンビニだ。
副社長の足がぴたりと止まる。
その静寂は、深い。
「年齢も、お姉ちゃんの方が近いし、」
ガッと、掴まれた。顎を。
顎を、だ。
無表情の副社長を前に、私は黙る。
「ひさちゃん、黙らないとキスするよ」
いや、黙ってます。