めはくちほどに






おめでとう、と言ったのは河上。

「いつ辞めるの?」

「なにを?」

「仕事。流石に副社長は家に入って欲しいって言うでしょう。稼ぎだってあるし」

「え、結婚しないけど」

「しないの!?」

声が大きい。私は手でどうどうと抑える。
河上が眉を顰めた。

「だって、まだ星子15だよ? 今年受験だし、高校卒業まではね?」

「それ了承してくれたの?」

「うん」

「へえ……不思議なひとだとは思ってたけど」

社食のうどんを食べ終えた河上は言う。

< 74 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop