めはくちほどに
確かに不思議なひとだ。
私も最初はねじをどこで落としてきたんだと思ったけれど。
「緋咲、これまで言い寄ってきた男振ってたから、男性不信とかかなって心配だったんだよね」
「これまで……あははは」
「何その笑い方」
皆お姉ちゃん行きになった。そして消えた。
お姉ちゃんがばっさり振ったのだと思う。
殆どの場合、お姉ちゃんとして紹介することはない。友達だと紹介して、私から離れてくれれば良い。
いつもなら、これで上手くいってたけど……。
河上が器とトレーを返却口へ持っていく。