お茶にしましょうか
00.単なるプロローグ
その瞬間とは、突然にやってきたのです。
私はいつもと何も変わらず、窓際にて優雅に楽器を奏でておりました。
空に溶け込むように、と柔らかな音色を響かせます。
自画自賛、手前味噌とわかっていながら自分の音に酔いしれておりました。
その時です。下のグラウンドが何やら一瞬にして、騒がしくなりはじめたのです。
『ちょっ、お前っ、どこに投げて―』
『あぶねぇっ』
『そこの…あの、なんか吹いてる人、逃げて!!』
白い何かが唸りをあげて、私に迫ってまいりました。
コォーン、と少し面白げな音を聞いたところで私の意識は、一旦、途切れたのです。
思えば、よくも4階の窓に達したものだ、と思いました。
そして、これが貴方なんかとの出逢いになりましょうとは。
お茶にしましょうか
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