お茶にしましょうか
Scene4 大きな小心者
小心翼翼。気が小さく何時でもビクビク、と何かに恐れている様な奴のことをいうらしいのだ。
まさに、俺のことを言っているではないか。
偶然にもこの言葉を見つけた時、迷うこともなくそう思えた。
『それでも頑張るということは、何かを信じている、ということではないのですか?』
これは、俺がくだらない言い訳を吐き出した後に、あの子が教えてくれたものだ。
『仲間のためになるわけない…』
今度のこれは、俺が今まで続けてきたものを「やめる」と言った時に、小さく呟かれたものだ。
他にもたくさんのことを言われたが、特にその2つの台詞が頭を離れないでいた。
出会って間もなく、心を触れられたような感覚がしている。
奇妙だ、とも思う。しかし、不思議でもある。
それは善意を持つかと問われれば、非常に微妙だ。
しかし、一時でも支えられた。
この事に関しては、俺の中で彼女の存在は大きいのだと思う。
そうして俺は、彼女の少しばかり説教染みた言葉に支えられ、今もこうしてグラウンドの上に立っていた。
心は支えられたはずだった。
しかし、これは何故だ。
こわい、こんな感情がある瞬間を迎える度に押し寄せる。
俺付近の上空で、白い球体が飛ぶ時だ。
それはまさに、たった今でもある。
練習メニューの一つであるアメリカンノックは、今まで俺にとっては厳しい練習のうちの一つ、という認識でしかなかった。
あくまで今までは、だ。