お茶にしましょうか
本当に私は江波くんに対して、恨むなどと、そのような不穏なことは、一度たりとも考えたことはありません。
ただ、彼に惹かれていただけなのです。
江波くんも、私の見つめる瞳が意味することを、汲み取ってくださったようでした。
江波くんは目を伏せ、こうおっしゃったのです。
「…すみませんでした。信じます…」
しかし、不器用で慎重な彼ですから、心の何処かでは、あと少しばかり疑っているやもしれません。
純粋に私の心情を、受け取ってほしい、その一心で、私は唐突に叫びました。
もう江波くんの「待て」も聞きません。
「江波くん」
「はい…」
「私は、貴方のことが好きです!」
すると、江波くんは、目を皿にしたかの様に円くされました。
どうでしょう、伝わったのでしょうか。
緊張と期待で、高鳴る胸の音を聞きながら、江波くんの反応を待ちました。
「えっ、あ………えっと、リョウさんは…?」
「はい?」
私は訳がわからず一度、瞬きをしました。
「リョウさんのことは、良いんですか…?」
「リョウさんのことも、もちろん、とても大好きです!」
何故、ここでリョウさんの名が出てきたのか、私にはよくわかりませんでした。
わかりませんでしたが、とりあえず本心を自信を持って、答えておきました。
すると、江波くんは、唇を噛み締めてらっしゃったのです。