お茶にしましょうか
「ありがとうございます!いただきますね!」
「ど、どうぞ」
江波くんからの承諾を得た私は感激し、目を輝かせながら、それを頬張ったのです。
すると、頭にキーンと良い刺激が走り抜けました。
蜜の甘さと、掻かれた氷の冷たさとが、夏を実感させるのです。
私は興奮気味に、江波くんの方を見ると、彼は言いました。
「幸福そうですね」
彼は優しく微笑みながら、私を見てくださいます。
ですから、私はいつまで経っても、幸福で居るのでしょう。
私も彼を変わらず想っており、彼もまた、変わらない優しい微笑を私に向けてくださるのですから。
私は続いてまた氷を頬張り、江波くんの言葉に強く頷きました。
すると、江波くんの方向から、大きい溜め息のような音が聞こえたのです。
私は僅かに驚きの表情で、江波くんをじっ、と見つめました。
しかし、彼は口の中に、たくさんの氷を頬張っている様子でした。
「江波くん。今、大きく溜め息を吐かれましたか?」
私は江波くんの様子を不思議に思いつつ問うと、彼は勢い良く首を横に振りました。
そして、彼の向こう側からまた、それが聞こえたのです。