お茶にしましょうか



「ありがとうございます!いただきますね!」

「ど、どうぞ」



江波くんからの承諾を得た私は感激し、目を輝かせながら、それを頬張ったのです。

すると、頭にキーンと良い刺激が走り抜けました。

蜜の甘さと、掻かれた氷の冷たさとが、夏を実感させるのです。

私は興奮気味に、江波くんの方を見ると、彼は言いました。



「幸福そうですね」



彼は優しく微笑みながら、私を見てくださいます。

ですから、私はいつまで経っても、幸福で居るのでしょう。

私も彼を変わらず想っており、彼もまた、変わらない優しい微笑を私に向けてくださるのですから。

私は続いてまた氷を頬張り、江波くんの言葉に強く頷きました。

すると、江波くんの方向から、大きい溜め息のような音が聞こえたのです。

私は僅かに驚きの表情で、江波くんをじっ、と見つめました。

しかし、彼は口の中に、たくさんの氷を頬張っている様子でした。



「江波くん。今、大きく溜め息を吐かれましたか?」



私は江波くんの様子を不思議に思いつつ問うと、彼は勢い良く首を横に振りました。

そして、彼の向こう側からまた、それが聞こえたのです。
< 139 / 160 >

この作品をシェア

pagetop