お茶にしましょうか
02.早過ぎる恋敵
Scene5 早過ぎる恋敵 1
ここ一週間、私の機嫌がとても宜しいのです。
さて、どうしてでしょう。
それは、憧れのあの人と毎日、挨拶を交わす様になったからです。
まさか、この様な間柄に成ることができるだなんて、思ってもいませんでしたから、毎日が夢心地で仕様がありません。
たくさんの人々が戯れる休み時間の廊下を歩き、今日は何処で会えるだろう、と胸を膨らませておりました。
そんなことを考えているそばから、私はよくよく見知った姿を見つけたのです。
「江波く…」
胸の高鳴りを押さえながら、私は駆け寄ろうとしました。
それなのに彼ときたら、すでに頬を真っ赤に染め上げ、親しげに女性に会話をしている様子でした。
私はあれ程楽しそうに話す江波くんなんて、初めて見てしまいました。
何について話しているのか。
いいえ、そんな事よりも何について話せば、江波くんはあの様に幸せそうな顔を見せてくれるのでしょうか。
その光景を目にしてまでも私は、意地の汚いことを考えておりました。
そして、当たり前の様に恋だの愛だのいう乙女の心は、悲しみに打ちひしがれたのでした。
しかし、少し間が間が空けば何てことはありません。
一時だけ気力を無くした乙女の心は、しばらくすれば活発に働き出していました。