お茶にしましょうか
「いつ会っても、うんざりするほど風変わりなバカップルだね」
その声の主が、江波くんの向こう側から顔を覗かせました。
「あら、そういえば!いらっしゃいましたね」
「あのさ、萩原さんにとって、俺は何なの?」
「申し訳ありません。一瞬、見えていなかったもので」
「一瞬でも見えなくなるって、俺は妖精か何かなの?」
江波くんの隣に座る彼は、江波くんの同級生であります。
昨年、江波くんと暑い夏を闘い抜いた、野球部のお一人なのでした。
彼らがまだ私の高校に在学していた頃から、彼は冷静に人を攻めるお方だったのです。
世間では彼のことも「毒舌」ということになるのでしょうか。
どうやら今も、それは健在である様でした。