お茶にしましょうか
「それにしても、萩原さんも『こんな』奴で、よく飽きないね」
「お、お前!それは萩原さんにも失礼だぞ!」
「私に飽きる気配が全く見えないのは、江波くんが『こんな』お方だからこそです!」
「萩原さん……?!」
江波くんは、交互にご自分の両側にもの申そうと、忙しなくしていました。
やはりそのような様子の彼を見ていると、どうしても飽きることができません。
第一に他人のことを思い、慌てふためく彼は、何とも愛しいのです。
しかし、彼等がまだ学内に居た頃に私自身、思い直したことがあります。
江波くんは人のお顔色を窺うだけでなく、ご自分の強い意志をお持ちでいるのです。
そうして、やはりそれもまた、他の方を思ってのことである、と私は思っております。
私は少し、彼を勘違いしていたようでした。
それでも、私の想いは何一つ変わりません。
むしろ、真摯で紳士な彼により一層、惹かれてしまっているというのですから、困りものです。
未だ慌てふためく彼を私が見つめると、ただでさえ暑いといいますのに、更に暑そうに顔を真っ赤にされていました。
「よかったねぇ、江波。こんなこと言ってくれる子、二度と現れないよ。お前の一生をかけて、大切にしなよ」
「い、一生だなんて、そんな……嬉しく思います……江波くん!」
「ほら。大喜びだよ、彼女」
「お前は、いちいち人を小突くな!」
そう言った江波くんは、尋常ではない量の汗をかき、かき氷を口へ運びました。