お茶にしましょうか
江波くんとあの女性の関係は、一体どういったものなのでしょうか。
ずっとモヤモヤとする胸は頭は、考えることをやめようとはしませんでした。
彼女は女子平均の身長に、スカート丈もきちんとして、しっかり着こなされた制服を身につけておりました。
そして、顔立ちはといえば、可愛らしいに分類されるであろう、セミロングヘアーのよく似合う方でありました。
見るからに、彼女が魅力的であることが窺えます。
そうです、私はあの人の何でもないくせに、嫉妬というものをしていたのです。
しかし、本当にあの方はどなたなのでしょう。
気になって、部活動の練習にも全く身が入りません。
両側から頬を挟む様にパンッ、と響かせました。
いざ、気合いを入れ直しても、頭のモヤモヤを取り払うことはできませんでした。
たった一人、音楽室の片隅で椅子に座り、愛人とも言える相棒をそっと胸に抱きしめました。
押し寄せて迫る、黒い波動を少しでも静めたかったからです。
思う様な音を出すことが出来ず、ずっと不満が降り積もるばかりでした。
いくら気持ちを音を変えようとすれど、それはどれだけ経っても不変でありました。
こんな練習をいつまでしていたところで、一切の意味も成さない、と本日は打ち切ることにいたしました。
グラウンド付近の帰り道を歩いていると、野球のベンチに女性の姿がありました。
それは、昼間の彼女だったのです。