お茶にしましょうか
マネージャーの彼女が近づいても何ともない様子でしたのに、私が覗き込むと、避けられてしまいました。
それがまた、私の胸を締めつけるのです。
目を逸らされるのは、照れてらっしゃる証拠だと思えるのですが、避けられてしまっては流石の私でも傷付いてしまします。
先程から相変わらず、同じ問題に苦戦し続けている江波くんに向かって、マネージャーの彼女が警告するようにおっしゃいました。
「しかし、あんた。そんなんじゃ希望している就職先に行けないわよ」
「そんなこと知っている。このままじゃ駄目だから、こうして勉強しているんだろ」
ここで私は思い知らされたのです。
彼らがあと少しもすれば卒業される、ということをたった今、思い知らされたのでした。
何処からともなく、寂しさが込み上げて仕様がありませんでした。
この方たちと居るのは、嫌なことを忘れられる程、楽しい時間であるのです。
しかし、その方たちが居なくなるという必然の事実が、寂しくて私には堪らなかったのです。
Scene 11 深海魚、混入につき