お茶にしましょうか
その翌日のことだ。
もう待つことはせず、積極的に行こう、そう思った。
たった今、 俺は下級生の教室が並ぶ棟に居た。
昨日の深海魚の君がどうにも気になってしまい、ここまで来たのだ。
これではまるで、吹奏楽部である彼女に聞きたいことがあり、いつかに音楽室へ赴いた時の様である。
その時には、彼女が何処に居るのか、場所が特定されていたため、直ぐに出会えた。
しかし、今回ばかりは組もわからなければ、名前すらもわからない。
さて、これは一体どうしたものか。
こうして、廊下をうろついていても、周りの目線が突き刺さるだけである。
俺は今、何か可笑しなことをしているだろうか。
いや、していない。
学年の違う棟に居る、ということ以外は、だが。
俺は決して、不審者ではありたくない。
しかし、問題点が一つある。
時間だ。
授業の合間の休み時間で、ここへ来ているため、あまり時間は無い。
残すところ、5、6分といったところだ。
これでは、あまり話すことも出来ずに終えるだろう。
窓側の壁に寄りかかった。
それから、数秒もしない、ほんの直ぐのことだった。
「あら?」
誰かが俺に関心を持ったらしく、声をかけてきたのだ。