お茶にしましょうか
05.二日掛かりの御祭騒ぎ
Scene15 二日掛かりの御祭騒ぎ~1日目~
皆さんの盛り上がり様は一年の内で、最高潮にございます。
本日は、我が学校の文化祭なのです。
普段は恐ろしい強面の教師すらも、あの浮かれ様でございます。
私はと言いますと、ケースから出した丸裸のリョウさんを携え、ある場所を目指しておりました。
間もなく、有志発表が始まるのです。
我が学校の文化祭は、2日間にわたって行われます。
1日目は、体育館で合唱など、様々な発表事が。
2日目には、学内全体を使って、たくさんの模擬店が開店いたします。
今日は、1日目です。
私にとって、今日は決戦の日でもあるのです。
今は吹奏楽部として、でなくても音楽室を使わせていただける存在として、認めていただくために。
合奏については、その次です。
この有志を発表した後、どなたかが関心を持ってくだされば、私にとってはそれだけで、幸いでございます。
私は体育館の舞台裏の扉から、中に入りました。
舞台上では、既に私の順番の一つ前の男子5人組が最近、流行のアーティストの曲を踊ってらっしゃいます。
軽快でテクノポップ、と云うものでしょうか。
私は、そちらは心得ておりませんでしたので、よくわかりませんが、そのような曲です。
技術も非常に高く、見惚れてしまいます。
たくさん練習をされたことでしょう。
そして、次はあの舞台に、私が立つのです。
そう考えると、武者震いがいたしました。
大きな音が止み、一瞬その場が静寂に包まれました。
その直後、歓声が沸き起ったのです。
私もあのように、受け入れていただけるでしょうか。
いいえ、それよりも心が落ち着かず、騒いでいるのです。
人前で演奏することは、過去に何度でも経験いたしましたが、今日は私の独壇場なのです。
さあ、大いに暴れ回りましょうか。