お茶にしましょうか
「…お願い。何か、言って…」
その時でした。
「…今日は、どうしたんですか?」
なんとリョウさんが、声を発したのです。
確かに望んだのは、私でした。
しかし、驚きのあまり、リョウさんを見つめ、静止してしまいました。
しかし、私は少し嬉しかったのです。
リョウさんと話せる日が来るだなんて、思ってもいませんでした。
「私、浮気をしてしまいそうです」
「う、浮気?!そ、それは、一体どういう意味で…」
「好きという気持ちがあまりにも強すぎて…
愛しいと思う人が出来てしまいました。ずっと前から」
「そ、そうだったんですか…」
「ええ。ごめんなさい…」
リョウさんへの罪悪感と、江波くんへのどうしようもない想いにもう、涙が堪えられません。
「いや、俺は…き、気にしません。気にしませんよ。あなたの思う幸福に従ってください。俺では、何とも言えません、から」
何故、彼はこれ程にも優しいのでしょう。
思い描いた通りの、理想の方でした。
私は、リョウさんをそっと、抱きしめました。
今まで共にしてくれた、感謝の意を込めて。
そして、これからも私の傍に居てくれることを願って。
その時、ガタッと私の背後で、何やら音がいたしました。