お茶にしましょうか
Scene16 二日掛かりの御祭騒ぎ~2日目~
「焼き鳥、いかがですかー!」
「クレープでーす!おいしいですよ!!」
「綿菓子、作っていきませんかぁ!」
ここらでは、売り上げ競争が行われている。
今日は、文化祭の2日目だ。
学内の全てが、模擬店と生徒、一般客とで溢れている。
俺たちの組の模擬店も、そのうちの一つであるのだ。
「そこのお姉ちゃんら!そう!そこの別嬪さん!たこ焼きやで!形、歪やけど、めっちゃ旨いから!450円やで!寄っててぇやぁー!!あっ、ちょっとぉ!」
「五月蝿ぇよ!!」
「五月蝿ぇは、ねぇだろ!お前等が『唯一、関西圏出身のお前が宣伝係しろ』っ言(つ)ったんだろ!俺、そもそも大阪出身じゃねえのに!本場の方、聞いてたら、シバかれるわ!」
「はいはい。休め、とは言ってないよ。落ち着けって言ったの」
「めっちゃ厳しいやん!」
うちの組のたこ焼き屋は、いつも通りの野球部の乗りで成り立っていた。
俺ともう一人、よく叫ぶ奴でたこ焼きを焼き、転がし続けている。
「しっかし、たこ焼き、小さなパックに6個しか入ってなくて、450円は高ぇよ」
「本当だよ。誰だ、価格設定したの。こんなの売れるわけ──
「あの、すみません」
チームメイト兼友人たちが愚痴を吐いていた時、一人の女生徒が店口にやってきたのだ。
『はい!らっしゃーせー!』
「これで、たこ焼き一つください。」
『はい!ありがとうございまぁーす!』
うちの野球部の特徴は、大体2つに分かれる。
一つは、女慣れしておらず、意思表示することなどを躊躇い、落ち着かなくなる奴。
つまりは、俺のような奴のことを云う。
もう一つは、女慣れしておらず、調子に乗って、浮かれる奴だ。
会計を担当しているのは、丁度、後者の2人組だ。