Contrary
暗い路地裏。
響く靴音。
「……なんか用か?」
黒のフードを深く被った男……レキは振り向くことなく低い声色で問いかける。
その言葉に反応するかのように出てきたのは5人の影。
「随分荒れているようね?」
「元仲間としては僕達も心配してるんだよー」
「……迷惑はかけてねぇだろ。
紫義、葉由」
気配がほとんどなかったはずの白鷺のメンバーの気配に気がついたレキだが、誰が自分を付けてきているかまでは分からなかったらしく、その声を聞いて僅かに声に安心の色が見える。
その証拠に、フードで今まで隠し続けられていた素顔がレキ自身の手によりフードを取り払われることによって現れる。
「久しぶりだな」
「元気……だった?」
「俺はいつでも元気だよ。侑蘭、涼稀。
露衣は相変わらず胡散臭いね」
「酷いなぁ。
まあ、否定はしないけどね」
ふわり────
風が吹いてレキのプラチナブロンドの髪が揺れる。
そして、透き通った紫の瞳が白鷺のメンバーを真っ直ぐに見つめた。