Contrary



粃……姫の言葉に驚いた顔の風華。
俺達と姫が関係あったことを知らなければその反応が 正しいな。


「この前、史桜に会ったけど私の気配に気がついてなかったわ」

『あー、そりゃ色々と葛藤してたからだろ』

「…………あの子達、少しは乗り越えられたのかしら」

『さぁな。
ただ、俺達はあいつらなら乗り越えられるって信じてる』

「響葵もあの事は引きずってると思うけど?」

『響葵じゃねぇ』


あいつは下手すりゃ双子より引きずってるな。と笑うと姫は不思議そうな顔をする。

姫は1番早く立ち直った。
実の兄をなくしたにもかかわらず、地に足をつけて前へ進んでいた。

親の問題があり、一緒に暮らすことが出来ていなかった事で関わる時間が少なかったからかもしれない。


『俺と此花と……姫だ』

「兄さんと……私?」

『姫は我らが姫だからな。
それは、俺達の名前が変わっても、姫の立場が変わっても変わらない』


なんだかんだで、双子のことを心配してるだろう?

そんな気持ちを込めて姫を見つめると、姫は困ったように笑った。

その笑顔は嘗てはよく見た笑顔。
馬鹿をやってるあいつらに怒られている此花や鈴桜達を史桜達と見ていた時の……

懐かしい笑顔だった。

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