Contrary
4年前。
総長候補の話が出て、恥ずかしそうに頬をかいていた。
笑顔には色んな種類があると教えてくれた彼のことを、いつの間にか大好きになっていた。
……きっと、初めから僕達は彼のことは大好きだったんだと思う。
“人の記憶に残る顔は笑顔でありたいんだよ”
3年前。
どうしていつも笑うのか……という問いに、相変わらず笑ってそう答えた。
その太陽の笑みを失ったその顔は、冷え切っていて……
そんな顔も出来んじゃねぇかって、苦笑いする声が周りから聞こえた。
3年前。
僕らの太陽は深い闇の中に沈んで見えなくなった。
たった一つの誤解。
白鷺を潰すためだけの嘘によって。
真っ赤に染ったその姿は、燃え尽きるその瞬間まで笑ってた。
片割れが声を上げて泣いていていた。
あんなに感情をさらけ出すのは珍しいな……なんて思いながら、僕は泣けなかった。
「こんな夜中まで起きてるの珍しいな」
『なんか眠れなくて』
口調が以前のものと変わらなくなっている。
きっと、あっという間に僕なんて置いていかれてしまう。
そういえば、今では関わりが無くなった両親への対応も片割れがしてくれていたな……なんて、これまでには考えなかったことも考える余裕がでてきたのかな。
「俺も眠れなくてさ。
隣いい?」
『うん』
僕が座っていたソファーが片割れの重みを受けて少し沈む。