Contrary
「ねぇ、鈴桜」
「ん?」
「僕ね」
「うん」
「……妃海ちゃんが“怖い”」
「……怖い?」
史桜がこんな事を言うのは珍しい。
確かにあの子には何か不思議な感じはある。
“例の子”だってこともあるんだろうけど、それだけじゃなくて……
関わってはいけない。
と警報が脳内で響いている。
何かが変わってしまうような気持ちの悪い感じ。
同じように史桜も感じていたんだろうけど、その表現の仕方が“怖い”だなんて。
史桜は滅多に楽しそうなものに関わりたくないということをほのめかすことは言わない。
楽しいことには多少のリスクは伴うと分かっているから。
「あの子と関わってたら……“鈴桜との関係が変わりそう”」
「僕との関係?」
「うん」
困ったように笑う史桜は食事の手は止めず話し続ける。