Contrary
「僕達の世界に入ってこられそうで怖いよ」
僕達は互いに依存しているんだと思う。
それは他人に言われるまでもなく分かっていることだ。
史桜がやるから僕もやる。
僕がやるから史桜もやる。
その逆も然り。
いつも二人で生きてきた。
僕達の世界には僕達しかいらなかった。
すっと空気のように入り込んできた幼馴染二人の存在は驚きでしかなかった。
こんなにも自然に、なんの疑問も持たずに僕達が打ち解けることが出来るなんて……と。
僕達は“双子であること”に依存していて、“双子”は幼馴染みに依存している。
その関係性が壊されたその時。
僕達はどうするのだろう。
……どうなってしまうんだろう。
「史桜」
「……?」
「大丈夫。
きっと入ってこれないよ、大丈夫」
この言葉は史桜に言ったものなのか、僕自身に言い聞かせた言葉だったのか。
「だけど……」
「すぐに分かるよ。
彼女が僕達の世界に入ってくることは無いって」
「……そうだね!」
ニコッと笑った史桜は「ごちそうさま」と言うと食器を片付ける。
僕も食べ終わって食器を持っていくと、史桜が受け取り洗ってくれる。