Contrary



「僕達の世界に」
「入ってくるやつが現れたら…」
「「どうしようか?」」



そんなことを言いながら学校へ向かう。
今から僕が史桜で、史桜が僕。

学校までの道のりを史桜として歩く。
史桜もまた、僕として……鈴桜として歩く。

もちろん、歩き方は同じだし決まった立ち位置があるわけじゃないから気をつけることは喋る順序くらい。

あと、名前かな。

学校についたら靴を履き替えて、ふたり仲良く教室へ向かう。

クラスメイトもほかのクラスの生徒も僕達が入れ替わってることに気が付かない。



「お、鈴桜と史桜じゃん。おはよう」

「「おはよー!炉宮!」」



杏路 炉宮。
僕達の一つ上の高校3年生。

黒髪に蒼眼の僕達の幼馴染み。
楽観的だし長い付き合いなのに僕達のことを見分けることが出来ないんだよ。

まあ、毎回外してるからわざと外してるんだと思うけどね。


響葵は僕達を見分けることが出来る幼馴染みで炉宮は見分けられない幼馴染み。

だからこそ、なんだか分からないけど居心地がいい。
二人共に見破られ続けても、外され続けても信用はできなかっただろう。

僕達の“本心”を見抜いた上での二人の行動はとても暖かかった。



「お前らのクラスに転入生が来たんだろう?
しかも、鈴桜の隣らしいじゃん?

なんか色々と大丈夫なのか?」



そう僕の格好をした史桜に言う炉宮。

ほら、またハズレ。


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