Contrary



隣とその前の席が空席になって半月。
私が二人が入れ替わってると見抜いてからも何度かあの二人は入れ替わって登校してきた。

私には別々にしか見えなくて、他の皆が見抜けないことの方が不思議だった。

二人は毎日“どっちがどっち?”と聞いてきて、二回目に入れ替わっていた時は聞かれる前に答えていた。

三回目になるとクラスの人たちも興味津々に見ていて、当てると二人は何故か傷ついた顔をした。

四回目になると一つ上の学年の幼馴染みだという杏路先輩が入ってきて見分けられなかった。

あの時のホッとしたような二人の顔は今でも昨日のことのように思える。

二人は別々の人間。
私の知る双子は見分けてもらえないことで悩んでいた。

見分けてもらえないから意固地になって見分けられないようにしてるんだって言ってたから、鈴桜くんと史桜くんもそうなのかなって思ってるんだ。


二人が学校に来なくなって何度か響葵くんに理由を問いかけたけど、“大丈夫、いつもの事だろうから”と言うばかりで心配をしている様子はなかった。

普通、心配するでしょう?


今日も二人は来ていない。
もうすぐ昼になる。

きっと今日はもう来ることはないだろう。

……と思ったその時。



< 24 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop