Contrary
「「おはよー!」」
二人は仲良く教室に入ってきた。
響葵くんが“おはようの時間じゃないけど、おはよう”とくすりと笑いながら声をかける。
無邪気に笑う二人は真っ直ぐ席へ向かってくる。
パチリと目が合った時、二人はふにゃりと柔らかく笑った。
「「妃海ちゃん、おはよう!」」
「鈴桜くん、史桜くんおはよう」
「ねぇ、妃海ちゃん!」
「お隣の席いなくて寂しかった?」
「へ?」
突然問いかけられた質問に首を傾げる。
どうしてそんなこと聞くんだろう?
私の感情なんて興味なさそうなのに……
「そうだね、鈴桜くんたちがいなくてさみしかったよ」
「そっかー」
「あ、そういえば!」
「「風華のお姫様になったんだって!?」」
コロコロ話が変わるなぁと思いながらも、疑問に思う。
風華のお姫様?
私は意図せず不可抗力で護衛される立場になってしまったけど、お姫様と呼ばれるものではない。
風華の総長……絆がお姫様は総長の彼女のことを指すんだって説明してくれた。
風華の姫は絆の彼女である粃だってことも。