Contrary
「私は違うよ!」
「そうなのー?」
「でも噂になってたよ?」
「噂?」
「風華の総長さんに」
「色目使って取り入ったって」
「「女の子たちの間で!」」
「そ……そんなことするわけないじゃない!」
そんな噂がたっていた事も、その噂を二人が信じていて、しかも笑顔で言ってくるとは思わなかった。
どうしてそんな噂がたったのかは知らないけど、何とかしないと……と思ったその時。
鈴桜くんの頬が僅かに赤く、そして少しだけ腫れていることに気がついた。
「妃海ちゃん?」
「どーしたのー?」
ハッとしてその部分を見つめてしまった為に、不思議そうな顔をして私を見つめてくる二人。
「そのほっぺ、どうしたの?」
「…………」
「……関係ないでしょう」
「…っ」
黙った鈴桜くんに、冷ややかな声になった史桜くん。
空気が一瞬で冷たくなったけど、それは私たちがいる一部分だけ。
他のところは何も変わらず、いつも通り。
二人の反応から“触れちゃいけないことだ”とは分かっている。
でも、もし私に何かできるのならしてあげたい。
「僕が誰かに何かをされたとして」
「君に何の関係があるの?」
「それは……」
「ズカズカ人の世界に入ってくるなんて」
「礼儀がなってないんじゃない?」