Contrary




頭が切れるかたまに恐ろしく的確な提案をするのだが、基本的にはただ周りの意見を聞いているだけ。

かといって喋らないわけではない。

むしろ話すほうだし、ゆるい話し方な上に小柄でどちらかというと可愛いと言われる部類だろう。



「あの……デネブラエってなんなの?」



不思議そうに聞いてくるのは妃海。

この間、暴走族……黒炎に襲われていたところを助けたんだが、俺たち風華に関係があると思われてしまったらしく狙われる立場にさせてしまった。

黒炎は手段を選ばない卑怯な族だと有名でどうにかしないとと思っていたからこれを機に色々と決着をつけるつもりだ。



「Tenebraeっていうのは最近暴れてる4人組のことだよ」

「確か個々の名前は“サク”“レキ”“アオ”“ミヤ”だったかなぁ?」



妃海の問いに悠葵と炉亜が答える。

この4人は妃海が転入してくる少し前から活動しだした。

あくまでも表立って活動したのが、という話だからもっと前から存在自体はあったのかもしれない。

簡単に言うと族潰しをしているようだが、そんな簡単な話ではない。



「ただの族潰しというには些か疑問が残るんだけどね……」

「疑問?」

「正統派、非正統派関係なくやられてるんだ」



族潰しを名乗るものは大抵は卑怯な族を狙っている。

……が、Tenebraeはまるで暴走族そのものを嫌い排除するかのように潰して回っている。

風華にはまだ被害はないが、この短期間でかなりの数の族がやられてることを踏まえると、十分警戒対象だろう。




< 31 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop